2026/08/16 17:55

墓じまいを申し出たら、数百万円の離檀料を求められた。
そんな投稿が、Xで注目を集めています。
投稿だけでは個別事例の事実関係を確認できませんが、高額な離檀料についての相談は、国民生活センターにも寄せられています。
もし自分の家で同じことを言われたら、どうすればよいのでしょうか。
まず覚えておきたいのは、その場で支払うと決めなくてもよいということです。
寺院とすぐに争う必要もありません。金額の内訳と根拠を持ち帰り、改葬の窓口になる自治体へ手続きを確認する。困ったときは、消費生活センターや法律の専門家へ相談する。
この記事では、その順番を分かりやすく整理します。

「墓じまいの費用」と「離檀料」は分けて確認する
最初に確認したいのは、示された金額の中身です。
墓じまいでは、墓石の撤去や区画の原状回復、供養、新しい納骨先などの費用に加え、改葬許可などの手続きが必要になることがあります。
一方の「離檀料」は、檀家を離れる際に、これまでの供養やお付き合いへの感謝として渡すお布施の意味で使われる言葉です。
二つを一緒にして「墓じまい一式」と言われると、何にいくら必要なのか分からなくなります。
その場では、次の三つを確認してください。
- 何の費用が含まれているか
- それぞれの金額はいくらか
- 金額の根拠は規約、未納金、工事見積もり、供養のお布施のどれか
口頭だけではなく、できれば書面やメールで内訳を受け取ると、家族や相談窓口にも状況を伝えやすくなります。
離檀料の金額に、明確な基準はない
国民生活センターは、離檀料は寺院へお礼として支払うお布施の意味を持つもので、現状、料金に明確な基準はなく、基本的には当事者間で話し合うことになると案内しています。
実際に同センターには、墓じまいを申し出たところ約300万円を求められた例や、過去帳に載る人数を理由に700万円を求められた例が寄せられています。
ただし、「基準がない」ことと、「どんな場合でも一円も支払う必要がない」ことは同じではありません。
墓地の使用規則や個別の合意、管理料の未納、依頼する供養や工事の内容によって事情は変わります。SNSの短い言い切りだけで判断せず、自分の家の契約や経緯を確認することが大切です。
その場で使える、三つの言葉
突然、大きな金額を示されると、うまく言葉が出ないことがあります。
そんなときは、次のように伝えて構いません。
本日は即答せず、家族で相談してからお返事します。
金額の内訳と根拠を、書面でいただけますか。
改葬に必要な証明書について、いつ、どのようにお願いできるか確認させてください。
「違法ではないですか」とその場で結論をぶつけるより、まず記録を残し、確認する時間をつくる方が、その後の話し合いを進めやすくなります。
「お骨を渡せない」と言われたら、まず自治体へ
お墓から遺骨を移す「改葬」には、現在遺骨がある場所の市区町村長の許可が必要です。
改葬許可の申請では、原則として墓地や納骨堂の管理者が作成した、遺骨が埋蔵・収蔵されている事実を証する書面を添えます。
一方で、墓地、埋葬等に関する法律施行規則は、その書面を用意しにくい特別な事情がある場合、市町村長が必要と認める代替書面も想定しています。
そのため、「管理者が証明書を作らないと言ったから、もう改葬できない」と一人で判断する必要はありません。
まず、遺骨が現在ある市区町村の、墓地・改葬を担当する窓口へ相談してください。自治体によって担当課名や必要書類が異なるため、個別に確認するのが確実です。
なお、遺骨の引き渡しや墓地使用権、金銭の支払いをめぐって当事者間の争いになっている場合は、行政手続きだけでは解決できないことがあります。その場合は弁護士へ相談してください。
困ったときの相談先
相談内容によって、窓口を分けると話が早くなります。
改葬の手続きや必要書類
遺骨が現在ある市区町村の、墓地・改葬を担当する窓口へ。
高額な請求に納得できない
消費者ホットライン「188」へ。最寄りの消費生活センターなどにつながります。
遺骨の引き渡しや支払いをめぐる争い
弁護士へ。契約、権利関係、交渉の進め方は、事情によって判断が変わります。
改葬許可申請の書類を整えたい
自治体の窓口で必要書類を確認したうえで、行政書士へ書類作成を相談する方法があります。
お寺を責めることが、目的ではない
高額な離檀料の相談がある一方、すべての寺院で同じような請求が行われているわけではありません。
長い間、お墓やご家族を見守ってきた寺院と、感謝を伝えながら穏やかに話がまとまることもあります。
大切なのは、感謝と金額の確認を混ぜないことです。
これまでのお付き合いへの感謝は、きちんと言葉にする。そのうえで、支払えない金額や根拠の分からない請求には、すぐ答えず確認する。
どちらか一方を選ぶ必要はありません。
墓じまいの後まで、先に考えておく
墓じまいは、お墓をなくして終わりではありません。遺骨をどこへ移し、これからどのように手を合わせていくかまで考える必要があります。
新しいお墓、納骨堂、永代供養墓、樹木葬、散骨、手元供養など、選択肢はいくつもあります。
家族で先に話しておくと、寺院との話し合いでも「なぜ改葬したいのか」「どこへ移すのか」を落ち着いて説明できます。
その場で決めないことは、失礼ではない
大きな金額を前にして「一度、持ち帰ります」と伝えることは、寺院への感謝を否定することではありません。
話し合いを壊さないために、時間を置く。
家族で確認し、必要なら第三者に相談する。
その一呼吸が、大切な遺骨と、これからの供養の形を落ち着いて考える時間になります。
墓じまい後の供養も、ご相談いただけます
お墓を閉じたあとの手元供養や、今ある墓石を活用できる可能性について、てのひらおはかでもご相談を受け付けています。
対応地域、施工範囲、費用、墓石を活用できるかどうかは、案件ごとの確認になります。まずは状況を伺い、必要な確認先を一緒に整理します。

